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eラーニングを使って、日本全国の大学の講義をすべての日本人が自由に見られるようにしよう

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年11月 1日(日)10時48分27秒
編集済
  こんにちは、皆さん、植田です。

 日曜討論の話題です。
 民主党の予算が95兆円になった理由が分かりました。
 基本的に自民党政権が作った案を前提にしたので、そうなってしまった、と。これから民主党の独自の予算案を本格的に作成する作業に入る、とのことです。
 国家予算の仕訳作業です。

 しかし、残念ながら、その仕分けがいかなる判断基準で行われるのか、その説明がありませんでした。
 無駄を排除する、という方針は選挙のマニフェストにありましたが、肝心な点は、誰が、何をもって無駄と判断するか、です。
 誰が、という点は民主党となりました。官僚でもなく、自民党でもなくなりました。
 何を基準とするか。ここがまだよくわかりません。

 話題を変えて、日経新聞に出ている楽天社長の三木谷浩史氏のインタビューから。
 この人、いつもなかなかセンスのある発言しますが、今回もそうです。
 IT技術に関して。

 「米国のオバマ政権をはじめ、どの国もITを国家戦略の中核に据えている。ITを競争力強化にどう活用するかという視点で鳩山政権を評価すると、自公政権と同様に合格点はつけられない。」日経新聞2009.10.29

 確かに。
 前原国交相は、羽田をアジアのハブ空港にするというポリシーを打ち出しましたが、IT産業の戦略については鳩山政権から今のところ、発信はありません。
 情報戦略局を立ち上げてはどうか、と思います。佐藤優氏などがいう外交国際戦略としての部門や、三木谷氏が言う産業戦略を扱う政府機関です。

 しかし、こういう発想が出てくるとき、私が思うのは、戦後の「日本国のかたち」がはっきりしないことには、何も動かないだろう、ということです。つまり、国体が護持されていれば、よれでいいではないか、という律令理性人の幸福感がすべてを支配してしまいます。その結果、無為無策になる、と。

 民主党も「この国のかたち」をまだ明確に示すに至っていません。
 今の時点は、「脱官僚」がすべてです。
 これは、単に不比等戦略をブレークするにすぎません。
 すでに権力をにぎったのであれば、過去のシステムを否定する段階は終わりました。今後必要になるのは、将来のヴィジョンです。

 民主党の議員たちもまだ律令理性の日本人と自然理性の日本人の区別を知らないので、ここは(新しいヴィジョンを示せないことは)無理もないでしょう。早く私の理性論が日本語言論に普及して欲しいところです。

 三木谷氏の民主党の政策への批判が続きます。

 「最低賃金引き上げや製造業派遣の禁止を掲げているが、グローバル競争の中で産業が勝ち残らないと雇用も創出できない。高校教育や高速道路の無料化は時代錯誤である。何でもタダとなれば、いたる所でモラルハザード(倫理の欠如)を起こしかねない。教育が大事というなら、どこからでも一流の教育を受けられるeラーニングを整備すればいい。」前掲

これもなかなかグッドです。
 ITを国家戦略として利用できるようになれば、たとえば、東大に一流の学者がいるのであれば、日本のどこからでもその講義にアクセスできるとすればどうでしょうか。国立ですから、すべての講義を国民に開放する、と。
 学問の内容はネットに無償で提供し、その勉強を活かして将来の自分の仕事に使いたい人は、それぞれ各自で試験を受けていけばいい、と。

 日本全国の大学が、すべての講義をネットで配信せよ、です。
 とりあえずは国公立あたりから。
 税金で存立しているのですから、できないことではありません。
 大学に入るために「受験勉強」をする必要がある、というのは、もう、ばかばかしい限りです。律令システムの遺物です。
 肝心なことは、大学に入ってから学ぶ学問の内容であり、それに日本人がいかに簡単に接することができるか、です。
 学問に参加するにあたって、門前で知の選別試験をするのは、まったく不合理です。参加した後の学問体験が、参加者に選別作用を行います。

 私は推測しますが、日本全国の大学の哲学科の講義がすべての日本人に解放されたとしましょう。誰もが自由に日本の大学で行われている哲学の講義を聴くことができる、とします。あるいは教授と議論もできる、としましょう。
 それで一年が経過したとしてみましょう。
 残っている人は、5%に満たないでしょう。
 学生の知の優劣の問題ではなく、哲学などいうものは、ヒマつぶし以外の何者でもないからです。

 それに対して、物理学とか、医学とか、生理学とか、化学とか、あるいは、法学、経済学とか、実用性の高い学問には人々が殺到するでしょう。
 しかしeラーニングであれば、誰もが自分のパソコンでアクセスできるわけですから、何も問題なし、と。
 eラーニングを使って、日本全国の大学の講義をすべての日本人に解放せよ、といきましょう。
 もっと日本人の知に活力を与えましょう。

 いや、何の話題だったかな。
 つまり、楽天の三木谷氏、がんばっています。
 最近は楽天の株価も上がっています。昨年は一株4万円と低迷していましたが、最近は6万円台に入りました。
 海外展開をするようですから、さらに上昇するでしょう。
 

日本を属国に置くのは、日本人の律令理性の精神である

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年11月 1日(日)08時43分1秒
編集済
  おはようございます、皆さん、植田です。

 11月に入りました。
 またこの掲示板に向き合える時期がきました。

 今月の最初の話題は、太田述正氏が予定している新著です。
 どういうわけか、この制作の作業の様子が福岡国際問題研究所のサイトで詳しく紹介されています。
 http://blog.zaq.ne.jp/fifa/1

 細かなことはそちらをご覧になってもらうとして、私の目に映るペリー・グッドな点を書いてみます。

 「なお、第一章の「日本はみずから望んで米国の属国になっているだけ」のテーゼは数ある太田テーゼの中でも個人的には最高峰に位置するものと思う。このテーゼが日本国民に普及すれば、関岡英之氏が著した『拒否できない日本』(文春新書、2004年)なんかに浮かれている左右の米国批判者は、その基盤を丸ごと失うことになる。このような言説は吉田ドクトリンの系に過ぎない。」

 まったくその通り。
 日本国の安全保障問題については、朝鮮戦争の時点で、アメリカ占領軍はその政策を完全に反転させました。先頭に立ったのが、よく知られているようにマッカーサーです。日本は再軍備してくれ、と。これに対して、マッカーサーがつくった憲法9条を楯にして断固拒否したのが吉田茂でした。
 戦後日本の安全保障問題がアメリカ属国になったのは、ここに起源を発します。
 つまり、日本が属国になったのは、アメリカが強要したのではなく、日本人のほうがそれを望んだということです。

 とはいえ、この起源の問題を忘却すれば、関岡氏のような発想が成り立ちます。戦後の日本はアメリカの要求を飲むだけ、と。ノーと言えない日本、と。

 ここで肝心なことは、今の日本が置かれた状況を私たちはどうするか、です。
 ということは、今も日本人が占領軍が日本を統治した時代とまったく変っていない状況にいるとすれば、−たとえば、憲法をたった一行も改正していませんー、それは日本人自身が望んでいることではないか。

 太田氏の先月28日のディスカスに、この点についての読者の投稿があります。3610番です。

 「<ωΑωΑ>(同上)

 属国の国民が奴隷とは限らないじゃん!
 マゾで別にいいじゃん!
 なんて言われた日には・・・

<ωΑΑω>(同上)

 というか、太田定義では今の我々を指して奴隷状態なわけだが、現状の生活でまったく困っていないという実感の人は多いだろう。
 そういう満ち足りた人たちにお前は奴隷だマゾだと言ってみたところで、「そう呼びたければご勝手に」と反論されて終わりだろう。
 そういう人たちの心にはさざ波一つ立たないだろうな。

<太田>

 それでも懲りずに奴隷だって伝え続けりゃいいの。
 ある日、突然膝を打ったり、回心したりする可能性あんだから・・。
 民主党が政権とるまでだって、何年かかったと思う?」
http://blog.ohtan.net/?p=3


 これは、どちらもその通りでしょう。
 しかし、読者さんの問題は、日本が属国なのかどうか、自分で確信しているかどうか、でしょう。
 私の感じでは確信していないでしょう。体験がないからでしょう。いや、これはいいことです。自分を自由と感じていることですから。

 で、私は、そういう現状の日本を属国ではなく、地上の楽園と感じることのできる日本人のことを律令理性人と呼んでいます。
 この理性は、自分が隷属状態にあることを普通であり、自然であると見なす人たちです。
 なぜ民主党が「脱官僚」のスローガンを掲げたかを見ると、このことがわかります。
 政治家が、実質的に官僚王国の属国におかれていたからでした。鳩山首相にせよ、管直人・福首相にせよ、自分の国会議員の体験を通してそのことを痛感したのでした。

 国内では、とりあえず民主党が官僚属国ぶりを解き放ちました。あくまでも、とりあえず、ですが。
 次は、アメリカ属国問題をどうするか、です。

 現状の日本が天国であり、地上の楽園であると考える人は、それはそれで結構です。律令理性人にとってはそれが当たり前の状態です。
 さりとして、今の日本が属国であると強調するだけでは、何も変わらないでしょう。というか、効果が薄いでしょう。それが日本人の自然の状態ですから。
 もちろん、現状が属国であることを説明することは必要です。
 その次に必要なのは、対策です。

 太田氏のように、御自分の体験から日本が属国であることを痛感している人は、どうしても立ち上がらざるを得ないでしょう。
 そこで、私の場合は、思想的応援団です。

 ここにきて必要なのは、「自由」とは何か、です。
 律令理性人の日本人が現状で満足しているのは、要するに、「自由」を知らないからです。ゆえに、属国人の満足です。

 自然理性人の自由とは何か。
 ここでヘーゲルの登場です。
 マルクスによって長く捻じ曲げられてきたヘーゲル哲学ですが、今や冷戦が終わり、マルクス主義の信奉者が沈黙してしまった今、ヘーゲル哲学の本当の意味が浮上します。
 自由とは何か。

 「本能的行為が、知性的で自由な行為と区別される点は、一般に後者が意識を伴って行われるところにある。精神は本能的な思惟の活動の中においては、それのカテゴリーの鎖につながれて無限に多くの素材に寸断されていたのであったが、この精神を動かすものの内容が主観との直接的統一を脱して、対象となって主観の前に現われる時、そこに精神の自由が始まるのである。
 精神の本性にとって最も重要な点は、単に精神の即自の存在が精神の現実の存在に対する関係にあるのみではなく、むしろ精神が自分を知るという関係にある。」『大論理学・上巻1』岩波書店P.15

 属国状態から自由になるための日本人の問題はこうです。
 どうすれば、日本人は律令理性人から自然理性人になるか。

 答え。
 まずこれまでの日本人が律令理性に規制されていたことを知ること。
 これが国内では官僚属国になり、対外的にはアメリカ属国になっています。元凶は、日本人の律令理性の精神です。

 具体的にはどうすればいいか。
 といえば、すでに民主党が快挙を達成しました。
 そしてそれを行ったのは、日本人自身です。
 脱官僚、です。

 この出来事の意味をしっかりと跡づけ、私たちはさらに自然理性人に向かって進んでいきましょう。
 

足利尊氏は不比等・律令理性と大いに闘った14世紀の日本人だった

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年10月31日(土)18時06分31秒
編集済
  こんばんは、皆さん、植田です。

 NHKの大河ドラマの『太平記』を、レンタルで借りて、ボチボチと見ています。
 きょうは10巻めを見ました。
 きょうは、後藤久美子が演じた北畠あきいえが死んだところで終わりました。
 このドラマでの最大のミスキャストです。テレビで放映された当時(1991年)にそう思ったものですが、やはり今回もそう思いました。しかし、それだけ当時は後藤久美子の人気が大きかったということでしょう。「国民的美少女」と評された後藤さんでした。その後、彼女は意外なことにF−1ドライバーのジャン・アレジと結婚しました。
 アレジは、デビュー当時、かのアイルトン・セナとトップ争いをして世界の注目を集めました。アメリカ・グランプリでした。デトロイトだったか、シカゴだったか、マチの名前を忘れました。そのレース、私もテレビ中継で見ました。
 話が脱線しました。

 このドラマでは真田弘之が足利尊氏を演じています。この番組で、私は真田弘之のファンになったのですが、しかし、その後、名作を残していませんねえ。
 足利尊氏の奥さんになったのが北条一族のとうこ。沢田靖子。沢田さんは、時代劇が非常によく似合う女優だと思います。

 それから、佐々木道誉という「バサラ」大名なるものが実に興味存在でした。役者は陣内孝則。この番組で私は陣内のファンにもなったのですが、彼もやはり真田と同じように、その後、名作を残していません。

 で、そういうことよりも、NHK大河ドラマの「太平記」を見ながら、今回は、私は井沢元彦氏の『逆説の日本史』の足利幕府の時代の説明と比較しています。特に足利尊氏の評価。
 後醍醐天皇については、井沢元彦の解説はその通りでいいだろうと思います。この天皇は、朱子学が説く「帝王」のイメージにのめりすぎた天皇である、と。それゆえに、ここは私の用語ですが、不比等戦略が設定した「天皇像」をはみ出た人でした。

 しかし、足利尊氏については、井沢元彦の解説とNHKの尊氏像は違っています。
 というか、井沢の場合は、自分の歴史像が先行しすぎている、と感じるようになりました。映像を通して、その当時の人々のやりとりを見ていると、尊氏の、状況に応じて揺れ動いていく心が、よくわかります。
 尊氏は何にその心を揺り動かされたのか。
 天皇か、武家か、でした。(それと、宮沢りえが演じた藤夜叉に産ませた不倫の子がいましたが、その父としての立場、もあります。)
 まさに不比等・律令システムのなかにおいて、普通の日本人が、いかに自分の権利を確立していくプロセスの揺れ動き、です。
 井沢元彦の日本史解説を最優先に置いてきた私ですが、ここにきて、自分なりの見方が出てきたなあ、と感じます。そこはちょっと違うぞ、と。

 というわけで、足利尊氏の人生を通して、日本人の不比等・律令システムとの闘い、という話題も面白いではないか、と思います。足利尊氏は、福沢諭吉、小沢一郎に先行する自然理性のために闘った日本人である、と。

 そう、小沢一郎の『日本改造計画』を読みなおしたのですが、これは傑作です。
 民主党の今回のマニフェストがすでにここにあります。

 副島隆彦氏によれば、この本は小沢の家庭教師だったアメリカ人の女性が書いたものである、ということですが、そんなふうに感じられる個所が多々あります。
 それはそれとしても、実に興味深い本です。
 小沢氏の『改造計画』は、「自然理性人のすすめ」という感じです。
 また話題が脱線しました。
 これはあらためて。
 

野党時代の民主党は情報から排除されていたので、今、貧欲に吸収している

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年10月30日(金)21時18分13秒
編集済
  こんばんは、皆さん、植田です。

 政権が交代して最初の国会が始まりました。
 今日の午後、はじめて中継をラジオで聞きました。
 面白かったです。

 まず、官僚がまったく出てこなくて、非常にすがすがしかったです。自分の仕事に説明責任を持たない彼らがこれまで日本の政治を主導してきたのが、まったく不思議です。これだけでもう自民党の政権ぶりは失格でした。国民主権の憲法に違反していた自民党の政治でした。

 普天間基地や郵政民営化の話題では、私は自民党議員の質問のほうが正しいのではないか、と思うのですか、民主党閣僚の答弁を聞いていて思ったことは、民主党はこれまで日本国の政治の主要な情報からまったく遮断されていたのだなあ、ということです。
 だから、さまざまな問題に直面しているものの、それにどう対処するか、今はまず情報集めの段階にいる、とわかりました。
 民主党が自分の政策を明確に打ち出してくるのは、まだしばらく時間がかかりそうです。

 そこで、きょうは軽い話題を。
 本日の日経新聞に荒俣宏氏の「老年を楽しく生きる秘訣」講演が出ています。
 60歳を超えてから彼が始めたこと。スキューバダイビング。
 これがあまりに楽しかったので、新しいことを3つ始めることにしたとのことです。

 皆既日食。
 海外レンタカー旅行。
 無重力飛行体験。

 日食は、客船に乗って北硫黄島付近からみた。
 海外レンタカーは、イタリアを旅行。日本語のカーナビがあり、日本国内を旅行しているように気軽にできた。
 無重力体験はアメリカで体験でき、ラスベガスで体験した。

 以上のような具合です。
 日本人の老後の生活も、なかなか豊かになってきました。

 これからは自分の人生を自分で設計する時代です。
 決められた人生のコースを生きる時代は終わりました。
 実に興味深い時代が来ました。
 これも日本人が各自、それぞれに自分の理性を主体に生きるようになったということです。
 これだけて、もう官僚主導の時代の終わりです。
 彼らの存在そのものが不要になりました。もちろん、行政制度には職業として官僚という職人は不可欠なので、ここでの意味は、太政官の権力を行使する律令官僚ということです。
 そう、終わった役割は、さっさと消え去りましょう。日本史から永遠に去っても結構です。不比等がデザインした日本国の立国形式はその役目を終わりました。
 自然理性人たる日本人が育ってきました。
 荒俣氏のように、誰もが自分が生きたいように生きること、これが日本人を自然理性人にします。

 もっとも私自身は、哲学をやっている時が一番楽しいです。身体を使った外界のアドヴェンチャーは、わずらわしいだけです。しかし、ドラえもんの「どこでもドア」のような便利な道具があれば別ですが。
 

鳩山首相よ、防衛歌舞伎はよせ、とWSJが警告した

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年10月27日(火)15時45分55秒
編集済
  こんにちは、皆さん、植田です。

 午後三時のNHKラジオニュースが、本日のウォールストリート・ジャーナル紙の社説を報じていました。

 昨日、鳩山首相が日米の軍事同盟を見直すと述べたが、これは小さなことではない。
 日米が10年以上もかけて決めた2006年の合意文書である。
 しかし鳩山首相は、代替案を持っている様子もない。
 鳩山首相は、外交だけで日本の安全が維持できるとでも考えているのか?
 などなど。

 鳩山政権の安全保障問題への取り組みへの疑問がアメリカで次第に大きくなっています。
 で、さっそくWSJを見てみました。
 ありました。

 「Tokyo Defense Kabuki
There's a widening gap in the U.S.-Japan security alliance.

 When the U.S. and Japan announced a sweeping military alliance realignment plan in 2006, both governments characterized their relationship as "the indispensable foundation of Japan's security and of peace and stability in the Asia-Pacific region." Yesterday, Prime Minister Yukio Hatoyama paid lip service to the alliance and then told parliament he wants to "frankly discuss" the implementation of a crucial part of that pact, the relocation of a U.S. air base on Okinawa.

This isn't a minor tiff. Mr. Hatoyama's grandstanding endangers the entire 2006 agreement, a complex document that took more than a decade to hash out.

・・・

 Mr. Hatoyama may feel that he's simply sticking to a campaign pledge to put more distance between Japan and the U.S. But it doesn't sound like he's thought much about the alternatives. Will Japan spend more on its own defense? Does Mr. Hatoyama think the North Korean nuclear program and growing Chinese military force aren't serious enough to warrant a closer U.S.-Japan relationship? Does he think diplomacy alone can keep Japan safe? These are the questions Japan's new prime minister needs to be asking, rather than putting on a kabuki show on defense.」
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704335904574496433041057944.html

 鳩山首相は歌舞伎の演目「防衛」などやっていないで、現実を直視しろ、と述べています。
 その通りです。

 戦後の日本人は、アメリカ依存に慣れ過ぎて、安全保障問題などまるでないかのように錯覚しています。日本人にとっての安全保障とは、米軍駐留の経費負担であり、米軍機の騒音であり、基地周辺の風俗問題です。
 その先にある、現代社会の国家間のパワー・ポリティクスが、これらの問題に遮断されて見えません。

 米軍問題の解決は簡単です。
 ジョセフ・ナイ氏が先月8日に述べています。

 「在日米軍への思いやり予算を打ち切れば、米軍は引き揚げる。日本の防衛費はかさむだろう。沖縄の普天間基地の移設問題は私が国防次官補だったころから15年も停滞している。よりよい解決法があるとしても、さらに15年も無駄にするのだろうか。」日経新聞2009.9.8

戦後の日本人の安全保障問題に関する議論は、ポイントがずれています。
 米軍基地の駐留問題だけになってしまいます。
 しかし日米安保があろうとなかろうと、日本列島の周囲には諸外国があり、時代によってこれらの諸国と日本国の関係は変わります。ということは、常に、安全保障問題は存在するということです。戦後は、これを日米安保という形で解決しているわけです。
 それを米軍駐留だけに問題点を絞ってしまうのは、俗にいう、木を見て森を見ず、です。

 もし、鳩山政権が子どもの教育を支援するためと称して、無駄な「思いやり予算」をカットしたとしてみましょう。そうすると、ナイ氏が予告するように米軍が引き揚げるとしてみましょう。
 そのとき、戦後の日本人ははじめて自分で日本国の安全保障問題の現実に直面します。
 戦後の日本人は、安保のおかげで、このような状況を想像することができなくなってしまいました。いや、本当にそうなってみないと、日本人は状況が理解できないのでしょうか。
 ひたすら米軍駐留問題です。
 これはあくまでも、安全保障問題への一つの解決法です。
 ここをよく考えましょう。

 しかし、たとえば福島瑞穂さんあたりは、こういうことよりも、単に「戦争は悪だ」とか、「子供を二度と徴兵させてはならない」とか、考えるのでしょうか。
 そうだとしたら、問題の識別がされていないということになります。
 世界政府が現実に存在しない現在の国際状況にあっては、安全保障問題は常に存在します。
 これと、この状況にいかに対応するかは、別のことです。
 徴兵はどこの国もいやでしょう。だから、兵器のIT化が、無人化がどんどん進んでいます。

 で、日本の対策ですが、具体的にはこの問題の専門家の皆さんが日夜、検討をしていることでしょうが、ざっと挙げれば、
 1 自民党政権が合意した政策を実行する。
 2 鳩山政権は普天間基地移設の代替案を早急に出す。
 3 アメリカ軍にお引き取り願う。
 などが考えられます。
 憲法9条問題など、まだまだあります。

 それよりも今は、鳩山政権の不感症です。
 安全保障問題について不感症であるなら、それは戦後日本人がそうだということです。
 なにしろ、8.30では民主党を圧勝させたのは有権者ですから。
 

佐々木毅氏のポイントを押さえた「政権交代」論

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年10月26日(月)16時18分32秒
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   こんにちは、皆さん、植田です。

 先月の11日の日経新聞の「経済教室」に佐々木毅氏の政権交代論が出ています。
 佐々木氏は東大の総長をしたあと、今は学習院大の教授です。専門は政治学。この人の政治学のテキストは、定評があります。私も、一冊だけですが、よく読みました。

 で、8.30の政権交代の意味を論じているのですが、なかなか面白いです。

 「自民党政権の崩壊は歴史的に極めて象徴的な意味を持っている。自民党政権は冷戦と経済成長という二本の足によって支えられた政権であった。冷戦は20年前に終わったが、経済成長の象徴とでもいうべき〈世界第二の経済大国〉という位置取りはその後も続いた。それが終わりになるのとあたかも軌を一つにするかのようにこの政権は崩壊した。」日経新聞2009.9.11

 これはまったくその通り。
 冷戦と経済成長。
 自民党はこの時代環境があったからこそ、存在意義を持ち得た政党でした。
 時代環境が変わったので、当然のごとく崩壊しました。

 不思議なのは、この崩壊が、ベルリンの壁の崩壊を起点にすれば、なぜ20年もかかってしまったのか、です。
 事実として、起きましたよ、やっぱり、しっかりと。1993年の小沢の乱に端を発する細川政権の誕生です。
 本来であれば、そのとき、二大政党制がスタートしてもよさそうなものでした。
 しかし、そうはなりませんでした。
 なぜか。
 ひとつは、民主党がまだ誕生していなかったし、もっと大きな理由がありました。
 官僚主導体制はまだ健在であったことです。
 官僚の行動が腐り始めるのは、バブルの崩壊からです。いや、それが目立ち始めたのがそこからだった、というべきでしょうか。とどめは、2007年末の防衛省の守屋事件となりました。

 したがって、自民党の崩壊が、本来、それがあってもよかった時期から20年もずれたのはなぜか、という疑問を持つと、佐々木氏の説が、官僚主導の側面にまったく言及していないことが私には歯がゆくなります。

 「自民党政権はまさに燃え尽きた。今度の総選挙は国民的規模で〈世界第二の経済大国〉政治の終焉を確認する作業になった。」

 その通り。
 事実が裏付けます。
 中国のクルマの生産台数がついに日本を突破します。
 しかし、中国経済の台頭は19世紀から予想されていたことです。あれだけの人口・地理大国が、経済成長に邁進するようになれば、経済大国になることは間違いない、と。
 その予想を覆したのが、日清戦争による日本国の国際デビューでした。
 それから120年、中国が世界の経済大国に名実ともになりつつあるいま、人口・地理的大国は、その予想された本来の姿になってきました。
 中国について不思議は、むしろ、それがなぜ「今」なのか、です。
 なぜ中国は4000年も眠りこけていたのか? これはヘーゲル哲学の問題です。

 さて、佐々木氏が論じる肝心な点です。

 「政権交代を機に、まず本当に国民が知りたいこと、知らなければならないことは、≪本当は、日本がどうなっており、どうなりうるのか≫を考え示すことで、必ずしも次に登場する特定の政策ではない。」前掲

 いや、まったくその通り。
 私の新作は、まさにこれを目指しています。
 あと、もう少しです。第5章は、あと1日のところです。
 本の題名は、『政権交代革命』ということにしました。

 佐々木氏は、さすがに元東大総長です。
 政権交代のポイントを押さえています。
 メディアにはいろいろと政権交代論が出ていますが、どれも、佐々木氏の見識に到達していません。(律令理性論だけは、佐々木氏にもまったく期待できませんが。)
 つまり、日々の、短期の、移りゆく「政策」に留まっています。
 しかし、今回の政権交代は、いわば、日本人にとっての「9.11」のようなものです。
 日本の進路が大きく変わる原点になります。
 自民党も、再度政権に復帰するときは、かっての姿ではないでしょう。
 

中曽根政権時代、国防費1%を突破させたのは誰か

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年10月26日(月)15時47分19秒
編集済
  こんにちは、皆さん、植田です。

 太田述正氏の『実名告発・防衛省』の最後に「池田さんとの〈1%突破〉の思いで」なる思い出話があります。
 この本を買ったとき、私はここを興味深く拝見しました。
 中曽根首相の時代、この「1%」問題に私は実に印象を受けた覚えがあります。
 ノー・モア・ウォーの声が圧倒的に強い戦後の日本において、このような勇敢な仕事を推進したのは誰なのか、と。戦後の日本において画期的な仕事ではないか。

 で、驚いたのは、防衛庁においてこれを推進した原動力の一人が、まさに太田氏でした。

 で、またまた、まったく偶然に、当時の最高責任者が誰だったか、わかりました。当時の中曽根政権で、誰が最終的に政治的に判断をしたのか。
 いや、もっとも「最終的に」と言えば、中曽根首相に決まっていますが、首相がゴー・サインを出す直前の段階で、1%枠の突破にゴーと口にしたのは誰か、です。
 後藤田正晴氏でした。

 順番に見てみます。
 まず、太田氏のほうから。

 「防衛費をGNPの1%の枠内にとどめるとの1976年度の閣議決定以降、初めて防衛費(当初予算)がGNP1%を突破したのが1987年度防衛費だ。翌1988度防衛費も1%を突破したが、爾来、防衛費は二度とGNP(後にGDP)比1%を突破することなく現在に至っている。
 残念ながら、GNP比1%突破の経緯をきちんと描いた論文も本もまだ出ていないし、私自身それを行うつもりもない。ただ一つ言えるのは、一部に流布しているところの、自由民主党の椎名素夫議員にその〈功績〉を帰する説は恐らく間違いであろうということだ。」『実名告発防衛省』P.229,230

このあと太田氏がいかにこの問題で活躍したのかが続きますが、そこは省略させてもらって、次に後藤田氏です。

 「昭和62度の予算では、防衛費がGNP比で1.004%となり、三木内閣の閣議で決定した〈GNP比1%枠〉を超える結果になってしまった。このことで、中曽根内閣は軍事大国への道を踏み出した、という批判がなされた。
 しかし、この批判は大きな間違いである。ここで、1%枠というものの性格について考えてみたい。
 当時の予算編成では、防衛費のほか整備新幹線、戦後処理問題といったことが政治折衝の最後まで残り、これを大蔵大臣、官房長官、党三役のほか関係大臣が、官邸地下の小食堂と呼ばれる小部屋で始めた。実は、このとき小食堂での協議の途中、大蔵大臣と防衛長官に二階の官房長官室に来てもらい、そこで妥協案を提示するなど、私が議論をリードした。
 したがって、1%枠を超えたのは、私の考えによる。
 なぜ、こうなったか。
 私は、政治折衝に入る前の段階で、党内の各方面の意見を聴取し、さらに防衛庁や大蔵省の意見などをすべて聞いてみた。そして、〈だいたいこのあたりだな〉という私なりの見定めをした。それが、結果的にGNP1%枠を超えるものになった。」『政と官』講談社P.1994P.205

 というわけで、当時、いかにして1%枠の突破という快挙がなされたのか、私にはこうして疑問が解けました。

 後藤田正晴という政治家のことは、私はあまり興味がなかったのですが、『政と官』という本があることを知り、読んでみました。非常に面白く、この人に対する見方が変わりました。
 といっても、これまでのイメージは、女優・水野真紀のおじさん、というものでした。いや、そうでしたか。

 この人は、1914年生まれ。ゆえに、占領軍時代を体験していました。警察庁時代に体験した屈辱が2回。
 そして、官僚主導も体験。
 ゆえに、この人は、私たちが問題にしている戦後日本人の2つの従属を、もろに体験している人でした。対米従属と、官僚従属です。

 後者の官僚従属というのは、当人が官僚ですから、この従属を体験した、というのもへんな言い方ですが、なぜそうなるのか、というと、どういうわけか、この人は、占領軍が決めた「国民主権」の側に立ちました。それによって、官僚主導と国民主権の板挟みにあいました。いわば、思想の葛藤です。
 興味深い人です。
 

戦後日本人の思考停止は、何かへの抗議なのか

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年10月25日(日)11時17分54秒
編集済
  こんにちは、皆さん、植田です。

 NHKの日曜討論にしばらく耳を傾けたのですが、いつ聴いても、代わり映えしません。
 普天間基地の移転問題は、なんと15年間、えんえんと同じことをやっているだけです。太田述正氏が現役の防衛庁の官僚でいた時代とまったく変っていないわけです。

 さらに驚くことに、政権を取った民主党政権に対して、誰も、過去のいきさつを説明していないということです。だから、鳩山政権は、過去の日米の安全保障問題のいきさつをまったく知らずに、マニフェスト通りの政策を行おうとしている、と。
 誰かが鳩山政権に普天間基地の移転が決まったいきさつを説明すれば、結局は鳩山政権も同じ結論にいきつく、と発言していました。

 驚きというのは、政権交代といっても、どこかの外国人が日本の占領統治にきたわけでもあるまいのに、なぜ、そのような重大な問題の引き継ぎが空白のままで行われるのか、です。
 自民党政権時代のいきさつをしっかりと理解した上で、民主党政権も自説を展開すればいいものを、何も知らないで米国側といきなり議論を始めてしまっているわけです。
 まあ、政権交代が起きたのは今回が初めてですから、無理もないことかも知れません。(細川政権の場合は、意図して実現した政権交代ではありませんでした。)

 しかし、安全保障問題での日本人の思考停止状態というのは、何なんでしょうか?
 戦後の日本人は、意図的に、この問題だけは考えるのをやめる、と決意したかのようです。すべてアメリカにお任せする、と。
 だったら、普天間基地の移転をアメリカが求めてきたら、さっさと対応すればいいものを、と思うのですが、ここでもだんまり戦法を取っているようです。
 安全保障問題では、戦後の日本には政府に「最終責任者」はいないかのようです。

 で、この問題は、アメリカが強圧的に出てくるのを待つしかない、ということになります。そうでなければ、何も進展しないのですから、どうしてもそうなります。
 このことの実例が、太田氏の『防衛庁再生宣言』に出ています。アメリカ軍の夜間発着訓練です。日本側の無策に我慢の限界を超えたアメリカ側が、本来は事前に日本側の了解を得てからでないと使用できない場所で訓練を強行しました。太田氏が辞職を決めた事件です。
 このまま民主党政権の無策が続けば、アメリカ側は何らかの強行策に出てくると予想されます。
 そうなればそうなったで、日本国内から、またまた反米の言論が出てくるでしょう。
 やれやれ、です。
 最初のきっかけを作っているのは誰なのか。
 戦後日本人の安全保障問題への思考停止です。
 アメリカ側の勝手な行動に我慢できないなら、安保を解約すればいいのに、それもできない戦後の日本人です。
 なんてだらしのない日本人になってしまったのか。
 と、司馬遼太郎氏は、このように感じたので、明治日本人を賛美する小説を書いたのでしょう。もっとも司馬氏の場合は、昭和の日本軍の愚かしさに対する反発からでした。

 しかし、目を別の問題に転じると、民主党よ、がんばれといいたくなる政策もあります。
 なんと、「脱・文部科学省」もマニフェストのうちとか。

 日本人の律令理性を自然理性に大転換するには、この「脱・文科省」が最も効果的だろうと私は思います。
 今後、日本全国の学校は、小学校から大学まで、文科省の指示を受けない、と。
 いまどき、官僚の指導を受けなければ日本人が日本人を教育できないなんてことが、あるわけないだろうに、と。
 いままで文科省の指導を当たり前と見なしてきた発想(=常識)が、すなわち、律令理性です。

 本日の日経新聞の中外時評の記事の結びがこうです、

 「〈文科省なんか要らない〉というほどの非常識が、新しい時代にはあってもいい。」日経新聞2009.10.25

 いや、そんなことなら、この掲示板で私がなんども書いているところです。
 非常識すぎて、誰も本気にしませんが。
 

米軍駐留はなぜ日本人に歓迎されるか

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年10月24日(土)20時17分45秒
編集済
  こんばんは、皆さん、植田です。

 新聞を見ると、普天間基地の移転をめぐって日米に溝ができている、とあります。
 まあ、民主党が政権を取る前から予想されたことです。
 こういう報道が出てくることに、私は、予想が現実になったなあ、という時間の流れを感じます。

 私は、こういう機会に、ということは、自民党政権であればアメリカにべったりの政策を取るので、表だった問題にはならないところが、民主党政権になったおかげで問題が浮き彫りになったこの機会に、日本国の安全保障問題をじっくりと考えてみましょう。

 想像してみましょう、たとえば、もし日米安保ではなく、日中安保だったらどうか、と。
 アメリカ軍の代わりに中国軍が日本列島に駐留するわけです。
 厚木基地をアメリカ軍が使用し、東京都内に中国軍の司令室がある、と。
 日本の航空機は中国軍の領空優先を甘んじるしかなく、中国軍によって列島に配備された日本国内のミサイルはすべてグアム島やハワイに向けられている、と。

 あるいは、日ロ安保の場合はどうか。
 その場合は、日本列島内に配備された大陸間弾道ミサイルは、中国とアメリカを射程に入れることになるでしょう。
 日本列島には中国からもアメリカからも日夜、ミサイルが狙うことになります。

 さて、その場合、中国やロシア軍は、日本国内でどのような行動をとるでしょうか。
 基地周辺には何が起きるか。女子高生の暴行事件だけですむか。
 まあ、わかりません。

 このように思考実験すると、日本国にとって何が問題なのかが明確に見えてきます。
 今は日米安保でアメリカ軍が駐留しているので、反米という雰囲気になっていますが、問題は、アメリカ軍がなぜ駐留しているのか、という問題です。
 アメリカ軍がいなければ、日本列島はより一層、安全なのか。
 それとも危機はさらに増大するのか。

 そもそもアメリカ軍はなぜ日本に駐留するのか。
 日本人は非軍事の状態を理想としているのに、なぜアメリカ人はそう考えないのか。

 たとえば、ホッブスの政治哲学を見れば、アメリカ人の常識と日本人の常識が非常に異質であることがわかります。
 日本人の場合は、和が最優先です。
 逆に、ホッブスの場合は、乱が最優先です。
 前提が逆です。

 ホッブスの人間観がこうです、

 「人間の天性の邪悪さは万人に明らかであり、罰則抜きに約束の自覚だけでは人々に義務を守らせるのにいかに不十分であるかは、経験上、あまりによく知られている。」『市民論』京都大学学術出版会P.131

 「安全のためには、融合して国家をなした人々の各々が口頭もしくは文書によって、殺さないこと、盗まないことやこれに類する法の遵守について他の人々と約束するということでは不十分である。」同前掲書P.131

 日本人が日米安保に依存して満足しているのは、ある意味では、けっこうなことです。ホッブスが述べたような人間観を共有していないということです。
 それよりも、戦前の日本軍の悪のほうが圧倒的に大きい犯罪経験として今も日本人を拘束しているのだろうと考えられます。ゆえに、アメリカ軍の駐留は日本軍に比べたら、たいしたことではない、と。

 アメリカ軍が駐留しているという事実は、過去、日本人はいかに自国の軍隊にひどい目にあわされたかということを実証しているのだ、と考えられます。
 アメリカ軍が日本軍と同じほどの圧政を行わない限り、日本人はアメリカ軍の駐留を歓迎し続けるでしょう。つまり、これが日本人の経験則である、ということになります。
 ホッブスは当時のイギリス人の市民戦争からそのような結論を引き出しましたが、戦後の日本人にはあてはまらない結論でした。

 もっとも、今後、どうなるかわかりませんが。
 今の時点では、日本人はモンゴルに支配されたこともなければ、中国人に支配されたこともありません。経験があるのはアメリカ軍の占領だけです。
 その占領体験は、日本軍が列島を統治した時代よりも、ずっと快適なものでした。
 戦後の日本の経済の繁栄もその成果の一つと言えます。

 アメリカ軍が駐留するほうがいいか、日本軍が再現されたほうがいいか、現実の米軍駐留が日本人の答えを示しています。
 

神はいかにして人となったか

 投稿者:ウエダ  投稿日:2009年10月24日(土)11時39分12秒
編集済
  こんにちは、皆さん、植田です。

 記紀神話が藤原不比等によって創作されたものであることは新京都学派によって発掘された、と私はこの掲示板で何度も書いてきたところですが、私に驚きなのは、それでいて新京都学派がその発掘の意味を認識していないという点です。
 不比等の発掘は、いわば、昭和天皇による人間宣言にも等しいものである、と。
 アマテラス神話が人為的なものであることが分かった以上、日本人は権力問題としてのアマテラス神話を、以後、信用することはなくなるだろう、と。
 いや、まあ、ここはすでに「日本国憲法」があるので、戦後の日本人から問題にされないのかもしれません。それが同時に、アメリカにとっての日本属国化戦略でもあったわけです。
 戦後の日本人は、日本国の政体的由来については考えることは必要なし、と。アメリカが管理しているから。「天皇利用計画」と「国民主権」憲法によって。

 さて、戦後の日本人にそのアメリカによる「天皇利用計画」から抜け出してもらうために、これから戦略を練りましょう。
 それには、たとえば、「聖書」と「記紀」はどう違うか、同じなのか。

 というと、記紀、特に日本史の正史として書かれた『日本書紀』は徹底的に政治文書である、ということです。統治論の見地から書かれたものが、書紀である、と。これがある限り、日本思想史にはホッブスが開始したような政治哲学なる学問は無用でした。だから、丸山真男が述べたように、明治になるまで、日本人の思想には政治学なる学問はありませんでした。

 では、聖書もまた政治文書なのか、といえば、どうでしょうか。
 あれは何なのか。
 旧約聖書は古代ユダヤ人によって創作されたものですが、日本人にとっての記紀のようなものなのか。
 では、新約聖書とは何なのか。政治文書なのか。違うとしたら、何なのか。

 とりあえず、日本人のアマテラス神話の信仰を徹底的に断ち切るために、上山春平氏の記紀神話の解読の紹介です。ただし、この場合の信仰否定は、権力問題として、です。皇室ならびに、皇室信仰の関係者の皆さんがアマテラスを皇室の祖先神と見なすことは、まったくその人の自由です。日本国憲法が保証する通りです。信仰の自由、です。

 さて、上山氏が言います、

 「記紀神代巻のライトモチーフが、〈万世一系〉の哲学を説くにあたり、そのためには何よりも、天皇における神の化身の秘密を説き示す必要があった、・・。この場合、神とは、天上の最高神としてのアマテラス大神であり、この神が、どのような経路を経過をへて天上の最高神として君臨する至ったか、また、どのような経過を経て地上の天皇に化肉するに至ったのか、ということが、記紀神代巻の中心テーマとなっている。そして、その神話風のストーリーのクライマックスが、〈天孫降臨〉の物語なのであった。・・
 天孫降臨の神話は、天上の最高神としてのアマテラス大神がいかにして地上の天皇に化肉したのかという、まさに〈万世一系の哲学〉の核心をなす問題点にふれながら、日本律令制における無責任君主制の成立について物語っているということになろう。」『続・神々の体系』P.100

この受肉、あるいは化肉は系譜によって示されます。

 「アマテラスは女神であり、夫にあたる神は存在しないわけですから、常識的に考えれば子孫がないはずなのですが、記紀神代巻では、アマテラスとスサノヲの〈誓約〉によって生まれたアメノオシホミミをアマテラスの嫡子とみなし、アメノオシホミミの子のニニギをアマテラスの嫡孫とみなしています。」『埋もれた虚像』岩波書店184

 アマテラス→アメノオシホミミ→ニニギ→ヒコホホデミ→ウガヤフキアエズ→イワレヒコ(神武天皇)。

 こうして日本版の「神はいかにして人となったか」が完成します。経路です。
 動機は、日本国の統治です。

 それでは、キリストの場合はどうか。
 その前段階に旧約聖書にはエホバが存在しますが、ここでは受肉は問題になりません。エホバはついに人間に受肉しませんでした。その代わりに、古代ユダヤ民族のなかに輩出した預言者を通して語りました。
 そのあとにキリストが登場します。
 この存在がイエス・キリストに受肉した経路は、新約聖書に42世代の名前が出てきます。記紀神話では6世代に対して、新約聖書では42世代をかけています。
 では、動機はなにか。
 キリストは地球の統治者として登場したのか。

 いや、それはないでしょう。
 そうであるならば、ほぼキリストの時代に成立したローマの「シーザー」を超える存在になったはずです。
 しかしキリストは、「シーザーのものはシーザーに、神のものは神に返せ」と言いました。

 日本語でこういう問題を論じる時にまぎらわしくなるのが、こういう場合です。
 上山春平氏の文脈では神とはアマテラスのことでしたが、新約聖書での神にアマテラスを代入すると、意味がまったく通りません。
 では、聖書がいう「神」とは何か。
 そしてキリストがナザレのイエスに受肉したということはどういうことなのか。

 ここに日本がペリー・ショックまで、紀元前6世紀の状態を保存したことの秘密があります。いや、1945年まで、といいましょうか。
 いや、2009.8.30までと言いましょうか。

 とにかく、日本経済を、日本国の安全保障問題を、日本の教育を、日本の農業を、とりわけ日本人自身を元気にするには、まず、日本人の精神を自立させることが一番です。
 アメリカに依存させず、アマテラスに依存させず、自分の理性以外の何者かに依存させないことが先決です。
 

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